さいたま市の教育委員会が、全66項目にわたるいじめの要注意サインを例示した「対応の手引き」を作成しました。手引きは教職員向けに作られたもので、児童・生徒たちが発する「ささいな変化」を見逃さず、学校全体で情報共有を行い、いじめを未然に防ぐことが目的です。
さいたま市ではこれまで、児童や生徒にいじめ・不登校を疑わせる変化が見受けられた場合でも、担任から校長・教頭への報告義務といった明確な決まりは無く、その対応は各学校の判断に委ねられていました。
手引きには「みんなの嫌がる仕事を多数決で決められる」「よく保健室に来る」等の要注意サイン66項目が例示され、児童や生徒が項目に該当した時には、発見した教職員から担任・校長へ速やかに報告するよう求めています。
また、月に3日以上欠席した児童・生徒に対しては、学校が「欠席状況調査票」を作成し、欠席理由や授業中の様子、家庭の状況などを細かく記載するよう規定。調査票の内容によっては、スクールカウンセラーとの面接も実施する予定です。
さいたま市の市立小・中学校では、2012年度のいじめ認知件数が458件、不登校の児童生徒数が888人に上り、2009年には中学3年の女子生徒が、携帯電話のサイトを通じた「ネットいじめ」の被害を受けて自殺する事件も発生しています。
さいたま市教育委員会の担当者は「ネットいじめの行為は見えなくても、子どもたちの日ごろの生活にはちょっとした変化が出ることがある。サインに気付くことで、迅速に対応していきたい」と話しました。